こんにちは、ヒーニョンです。
「真北」と「磁北」の違いを意識していますか?
学生のころ、オリエンテーリングの授業で学んでいるはずなのですが、僕には記憶がありません。
建築の仕事をするようになり、建築基準法を勉強していて「北側斜線制限」や「日影図作成」にでてくる「北」が「真北」だと知り、意識するようになりました。
この記事では、真北と磁北の違いについて理解できるように、どうして似た言葉があるのか解説します。
身近で使われる「北」のほとんどは「真北」
真北を「まきた」とか「しんほく」「しんぼく」と読む方がおられますが間違っています。正解は「しんぽく」です。
真北とは、地球が回転(自転)している軸(地軸)が地表と交差する点の北側を「北極点」といい、北極点を指す方位が真北です。これは誰でも認知していると思います。
地図に方位記号が明記されていなければ、上方向が北ですが、この北は真北です。
建築基準法にでてくる北も真北です。地形に関係するほとんどのものが真北です。
「磁北」とは
磁北(じほく)とは、コンパス(方位磁針)が指す方位です。
コンパスはオリエンテーリングで目的地を探すのに使ったことがあると思います。
地球は大きな磁石だからこそ、コンパスで簡単に方位を知ることができます。
しかし厄介なのが真北と磁北は方位が違うのです。
コンパスの針が指す方へ向かって進んでいくと、最終的に針は真下を向きます。この地点を「北磁極」といいます。「北極点」とは1,200kmほど位置が違います。
では、オリエンテーリングで地図(真北)上にコンパス(磁北)を置いて方位を調べていたのは意味がないことなのでしょうか?
真北と磁北のズレを「偏角」といいます。登山やオリエンテーリングに使う本格的なコンパスには「偏角補正目盛」が付いていて、これを事前に設定しておけばコンパスで真北を知ることができるのです。
日本国内の偏角は北海道の10°から沖縄5°と場所によって違いますし、世界に目を向けると50°以上も違う場所もあります。
国内で特定の場所の偏角を調べるなら地理院地図のサイトで情報を公開しています。
ちなみにiPhoneにはコンパスが内蔵されています。設定を見れば「真北を使用」というスイッチがあり、真北と磁北を切り替えられるようになっています。iPhoneにはGPSが付いていて位置が特定できるので自動で偏角補正しているのでしょう。
「磁北」のメカニズム
地球は大きな磁石といいましたが、なぜ磁石になっているのでしょうか?
地球の中心は核でできています。核の内側(内核)は個体の金属で、核の外側(外核)は液体状の金属でできています。
液体状の金属が内核の周りを流動することで磁場を発生させているといわれています。電磁石の原理のようなものらしいです。物理学を学んでいるなら右ねじの法則ですね。
地球内部で流動する外核の流れは一定ではないため、地球の磁場(地磁気)は数年から数百年の単位で変化します。地球の長い歴史では地磁気逆転がおきたこともあるそうです。
方位が変動する磁北は、地図作成には不向きです。毎年、作成し直すわけにはいきませんからね。
真北を知るには北極星の位置がわかればよいのですが、日中は見えないですし、望遠鏡など大掛かりな機器が必要です。そこで手軽な磁石を使い、磁北から間接的に真北を求めているのです。
「北磁軸極」とは
ここまで読んでもらえれば北極点と北磁極の違いは理解できたと思います。
北磁極はコンパスが指し示す方位でしたが、似たような言葉に「北磁軸極」があります。これは何なんでしょうか?
世界中の各地で地磁気を計測する機器が設置され日夜観測しています。
地磁気は強さも向きも場所によって違うだけでなく、時間によっても変化します。地球規模で観測したデータの分布から、計算によって1つの棒磁石の方向を仮想します。この仮想棒磁石の方向を延長して地表と交差する点の北側を「北磁軸極」といいます。
北磁極とは場所が違います。
まとめ
これで真北(しんぽく)の理解は完璧です。
- 真北: 地軸が地表と交差する点の方位 → 北極点 → 普遍
- 磁北: コンパスが指す方位 → 北磁極 → 変動
コンパスを使って地図を読むときに、もう間違うことはないでしょう。
ではまたヾ(^^へ)
コメント